大理石がいい?


お菓子作りをする時に使う台は大理石の板がいいって本当でしょうか?

お菓子作りの作業台にはステンレスや大理石や木の板が使われます。
ステンレスなどの金属や大理石は熱伝導がいいので、熱いものを早く冷やしたい場合には都合がいいものです。たとえばチョコレートのテンパリングでは、溶かしたチョコレートを早く冷ましたいので、大理石や御影石などが使われます。

木の板より大理石の板やステンレスの方が触って冷たく感じるので、パイ生地やタルト生地などのバターを使った生地でもその方がいいと思うのは誤解です。
熱伝導がいいということは熱いものは早く冷ましますが、冷たいものは早く温めてしまうことになります。
木の板は熱伝導が悪いので、熱いものは冷めるのが遅いですが、冷たいものは温まるのも遅くなります。

作業中の板はどの材質であれ、室温と同じ温度になっています。扱う物がその温度より高いか低いかが問題なのです。手でさわって、木の板より大理石の板の方が冷たく感じるのは、手の温度の方が板の温度より高いので、熱伝導のいい大理石の方がその温度を早く伝えるためです。
板の温度を手の温度より高くしてやれば、大理石の方が木より温かく感じるでしょう。
同じ大きさの氷の塊を置けば、木の上より大理石の上の方が氷は早く溶けていく道理です。

バターを使ったパイ生地やタルト生地、あるいはクッキー生地などを延ばす時は常に冷蔵庫でねかせて、充分冷たいものを使います。作業中にバターを過度に柔らかくしないことが要求されます。
この場合は生地の方が板より常に冷たいわけですから、温度が伝わりやすい大理石やステンレスを使うと、生地の冷たさを奪って生地はあっという間に柔らかくなってしまいます。
熱伝導の悪い木の板の方が柔らかくなるのが遅くなります。それも重くて目の詰んだ板より軽い気泡の多い板の方がより熱伝導が悪いので、軽くてそらない板を使うことが勧められます。
表面は目が詰んでいて平らで、中は気泡の多いような軽めの集成材がいいでしょう。

繰り返しになりますが、チョコレートのテンパリングなど、熱いものを早く冷やしたい時は大理石の板が適当ですが、バターを使ったパイ生地、タルト生地、クッキー生地など冷たいもの延ばしたりする時は、温まり方の遅い木の板の上で作業をすることが適切だと言えます。